「BHA; butylated Hydroxyanisole、
ブチルヒドロキシアニソール」
酸化防止剤


 BHAとは食品、医薬品、化粧品に添加することが許可されている物質で、正確には「 Butylated Hydroxyanisole 」といいます。Hydroxyanisole とはグアヤコールの別名で、歯科で虫歯の穴に浸潤させ、消毒と歯髄神経を麻痺させることに使われている劇薬です。奇しくも小生が関心をもっている正露丸という大衆薬の最大成分です。これにブチル基がついたものがBHAです。
 この物質はブチル基がついているため、油脂に溶けます。そして抗酸化剤としての効果があり、最初はエンジンオイルなどの工業用油脂に添加されていたのが、食用の油脂にも応用が拡大されたものです。

 1)物質としてのアニソールとBHA

 ・アニソール(=メトキシベンゼン):強い芳香を有する無色の液体。用途:香料、殺虫剤、有機溶剤。
 ・BHA:mw180、 白色結晶、 p−ヒドロキシアニソールとブチレンとを作用させて作る。フェノール臭、刺激味を有する。多くの有機溶媒に可溶。熱水に不溶。油脂類に0.5%可溶。抗酸化剤として油脂またはバター、魚貝乾製品、同塩蔵品に1kg中1g以下の使用が許されている。魚介冷凍品の場合、浸セキ液1kg中1g以下の使用が許されている。ラードに対し特にすぐれた酸化防止性をもつ。(以上『化学大辞典』より)
 ・毒性:LD50;1,100mg/kg(マウス)、2,000mg/kg(ラット)。
 ・ADI(ヒト許容一日摂取量):25mg/50kg BW

 2)BHAの保存料としての作用

 BHAは油脂類の保存料として使用されています。これはBHAが優れたラジカル捕捉剤(radical scavenger)として作用することを利用してのことです。
 分子は原子からなり、原子は電子と原子核からなるわけですが、普通、分子中では、電子は2個ずつ組をなして存在しています。ところが、分子によっては、一部の電子が組をなさず、不対電子(unpaired electron)として存在することがあります。このような分子をラジカル(radical)と呼びます。ラジカル分子はその名前から連想される通り、極めて反応性に富んでおり、多くの場合、ラジカル分子は生成するとすぐに次の段階の反応を起こしてより安定な分子へと変化していきます。しかし、ラジカル分子には稀にきわめて安定に存在する分子も存在しています。そのような分子で代表的なものに、酸素、O2があります。酸素の反応性を利用して多くの生命は食物からエネルギーを得ています。一方、不安定なラジカル分子にあっても、その安定性には差異があります。
 BHAのように、ベンゼン環と水酸基からなるフェノール骨格を持つ化合物は水酸基の水素原子を解離してフェノキシラジカルを与えますが、このラジカルは有機ラジカル分子としては比較的安定に存在することが出来ます。BHAはフェノール骨格に加えてtert-ブチル基*を有していますが、このtert-ブチル基は分子の脂溶性を高めるとともに、ラジカル分子の安定性を高める効果もあると思われます。このように、他のラジカル分子よりも安定なラジカル分子を与える化合物はラジカル捕捉剤としてはたらくことが期待されます。
 腐敗という現象は化学的には、有機物の炭素鎖(有機物の分子中、炭素原子が鎖状に連なった構造をした部分)と酸素分子が反応して(これを酸化反応と呼びます)過酸化アルキルラジカル(alkyl peroxyl radical)を与えることで進行するようですが、BHAはこのラジカルに水素原子を与えて自身はラジカル分子へと変化します。この反応はフェノキシラジカルが過酸化アルキルラジカルよりも安定性が高いために進行します。以上がBHAの保存料としてのはたらきの説明です。(ブチル基には3種類あります。)
 ・使用の拡大:1987年生産出荷量5t、「1982年のマーケットバスケット方式による1人平均摂取量の実測計算は0.0012mgである。」(『食品中の添加物分析法解説書』講談社より)

  

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