「誤解語録」
(我々はマインドコントロールされている)
飲酒弁護の部
○「酒は適度に飲めば無害、かつ健康に有益。」
適量には個人差が大きく、少量でも有害なことがある。(日本人、東洋人の4割くらいの人は、少量の飲酒ですぐ顔が赤くなったり、動悸がしたりする「酒が弱い人」です。欧米人の飲酒に関する常識を、日本人全体にそのまま当てはめるのは間違いです。そのような文化人や学者が飲酒の効用を説いたら、まず酒メーカーから何かもらっている可能性があることを考えましょう。)
○「ほとんどの人は酒を楽しく飲んでおり、乱用するのは特殊な人である。」
酒の「使用」と「乱用」は連続的です。(軽い乱用者も自分では楽しく飲んでいるつもりだったり、アル中の人もかっては楽しく飲んだこともあります。)
○「アル中とは、不道徳で、暴力的で、汚い。」
性格的には気配りがきき、働きすぎる人が多い。(不道徳で、暴力的で、汚い人々とは、汚職官僚や裏で大企業や高級官僚と癒着している学者さんでしょう。)
○「休肝日を週1,2日もうければ問題ない。」
休刊日にゴロを合わせた標語で、肝障害は治らないし、アルコール依存症の人はは油断させるし、困った概念です。ただ酒メーカーは喜ぶはずです。なにせ見方を変えれば、「週5,6日は飲みなさい」という、ありがたい標語なのですから。
○「たまに多く飲んでも、休肝日を長くとればよい。」
多く飲む時期と、酒を飲まない時期を、交互に繰り返すアルコール依存症に特徴的な「山型飲酒サイクル」という飲み方の人たちを油断させえる考え方です。
○「肝臓に問題がなければ、飲酒に問題はない。」
アルコールの影響は多臓器に及びます。また脳・神経には依存をもたらすという、他の飲料にはない特性があります。
○「糖尿病と言われたら、糖分の少ない焼酎、ウィスキーを飲む。」
血糖が良くコントロールされていれば問題ないのですが、コントロールが良くなければ、糖分だけの問題ではありません。アルコールそのものが、インシュリンの作用を弱めるので、飲酒を一時止めてみて、血糖のコントロールを観察する必要があります。
○「アル中とは酒をのべつ飲んでいる人々である。」
酒を飲まない時期もあります。むしろ断続的に飲む人のほうがアル中の人々には多いでしょう。
○「酒は心の憂さを払ってくれる。」
不景気や低成長の今のような時代には、酒が多く飲まれるのは理解できます。しかし、酒が一時的な逃避となり、問題を抱えている場合は、事態はますます深刻化します。
○「ア症かも知れないが、精神科へ行く必要はない。」
精神科には、一部で残念ながら、ただ閉鎖病棟に入院させているだけのところがあります。しかし、良心的なアルコール依存症の専門病院では、入院に患者さんの自由意志を尊重し、閉じこめたり、暴力を振るったり薬づけにしたりすることは全くありません。かつて多かった閉鎖的な精神病院のイメージが現在も多くの人々に残っているのです。
飲酒礼賛の部
○「酒は神代の昔から飲まれており、人々の生活に役だってきた。」
昔は時々しか飲めなかった祭り時の飲み物。今は毎日飲める、一種の抗うつ剤。またこの抗うつ剤は、だんだん効き目が弱くなり(耐性が生じやすく)、作用メカニズムは大脳表層の抑制をはずすことなので、解放感を生むことが多いのですが、中には、常日頃抑制されている不満や愚痴がこぼれるようになる人々も多いのです。
○「酒は社交に欠くことのできない飲み物である。」
「会合の前半は酒なし」が日本の文化。
○「酒飲みは愉快で、面白い人々である。」
状況によっては、やっかいなことを起こす。特に家庭では。
○「酒の助けで、立派な知的な活動をしていたり、長生きする人は多い。」
それは、それらの人々の個人的な能力で、酒の力ではない。
○「男女同権の世の中、女性はもっと飲んでよい。」
女性は男性よりアルコール依存症になりやすく、回復もむずかしい。
○「飲酒は20歳になってから、とビンに書いてある。」
この表現では「20歳になったら、酒を飲みましょう」というに等しい。「未成年者の飲酒は法律で禁止されています。」と書くべき。
○「若者は大学や会社に入ったら、酒を飲んで集団に溶け込もう。」
未成年が混じっている場合は、酒なしの会合を工夫しよう。その方がいやな思いをすることも少ない。それに若いほどアルコール依存症になりやすく、回復も困難。
○「集団の和をはかるのに飲酒は有用である。」
飲めない人々には迷惑。高校生や中学生までこのような考えをもっている日本の社会は異常。
○「酒は約2兆円の税収をあげ、国の役にたってる。」
約6兆円の損害を国民に与えているという報告がある。健康障害、生産性への悪影響、犯罪、缶やビンのポイ捨てなど、さまざまな問題の責任について、酒メーカーは知らぬふり。
○「酒のことを悪く言う人間は偏っているか、堅物である。」
酒メーカーが利益獲得しか考えず、高級官僚や文化人の多くはメーカーに媚び、マスコミも広告料の支払い主としての酒メーカーに支配され、偏っている。
(平成11年6月末、記)
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