「薬害オンブズパースン・タイアップ仙台の訴訟」

 薬害オンブズパースンのタイアップ仙台は、平成10年1月24日、結成集会が行われ、その後、具体的ないくつかの活動を行ってきました。(以下は私の個人的な関心で、このグループの活動を追跡したもので、仙台支部の公式な見解ではありません。

1)胃腸薬H2ブロッカーについての厚生省への質問状の提出。

2)脳循環代謝改善剤についての監査請求と住民訴訟

3)浜六郎先生を招いての一周年記念講演会

 この中で、私が関心をもっているのは2)の脳循環代謝改善剤の問題です。以下、これについて説明します。

 ことの起こりは、平成10年5月19日、厚生省がイデベノン、塩酸インデロキザジン、塩酸ビフェメラン、プロペントフィリンの4成分の脳循環代謝改善剤の「承認取り消し」、「製造販売の中止」、「回収」を指示した時に始まります。
 私たち末端の医療現場では多少の混乱がおこりました。これらの医薬品はいわゆる「ボケ治療薬」として、老人の患者さんに長期にわたり服用させてきたからです。「あなたに服用させてきたこの錠剤はつい最近、厚生省から効果がないということで、製品回収になり、服用を止めていただくことになりました」と説明し、多くの老人に同じ説明をくりかえしたのです。ほとんどの患者さんは強い不満や苦情を、私ら医師につきかえすようなことはありませんでした。しかし、それだけに、私たち医師はどうしてこのようなことが起こったのか、患者さんたちに申し訳なかったと感じざるを得なかったのです。

 平成10年7月31日、仙台支部は住民監査請求を仙台市へ提出しました。これが却下されると、9月8日、タイアップ仙台は、仙台市立病院が平成7年から3年間、卸売り業者から購入した、脳循環代謝改善剤の代金約7,900万円を卸売り業者に対して、契約の解除、代金の返還請求をすることと、その他の医療上の有用性が確認されていない、脳循環代謝改善剤の購入中止を求める住民訴訟を起こしました。
 原告側は、各薬剤の承認申請時及び再評価申請時に厚生省に提出された文書を裁判所に送付嘱託するよう申し立て、被告側は反対したのですが、裁判所は原告側の申し立てを採用しました。

 同時にタイアップ仙台の二名は、仙台市長が製薬会社に対して不当利得返還請求をしないのが違法であるとの住民訴訟を平成11年1月22日に起こしました。(続く)

  

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