むし歯の統計データ
 
(2003年12月作成/2005年12月10日更新/2017年2月7日再度更新)


 むし歯予防のためにフッ化物の使用を推進している学者、歯科医師によってフッ化物洗口や水道水へのフッ化物添加(フロリデーション)が推奨されていますが、教育現場でフッ化物洗口を導入する必要性や、水道水にフッ化物を添加する必要性は、むし歯が一人当たり何本あるかや、むし歯のある人がどの程度(割合)いるかによって変わってきます。
 
 国際的に一つの指標となっている12歳児のむし歯のデータは、わが国では減少傾向が続いています。WHO(世界保健機関)とFDI(国際歯科連盟)が定めた12歳児のDMFTの2000年目標値である3本は既に1999年時点でクリアされ(厚生労働省「歯科疾患実態調査」で2.44)、2003年度の学校保健統計調査(速報)では「男女合計」の数値が2.09、「男子」に限れば2本をきり、1.92となりました。

 その後も、むし歯は順調に減り続けています。文部科学省は毎年「12歳の永久歯の一人当たり平均むし歯(う歯)等数」を発表していますが、下表のように平成27年(2015)には0.9本まで下がりました。

むし歯の本数と割合の推移

■毎日新聞 2003(平成15)年12月11日
 
  学校保健統計調査
 
  むし歯、10年で半減
  ぜんそく2倍、小中で過去最高

むし歯の本数と割合の推移

 12歳(中学1年生)の永久歯のむし歯の平均本数は約 2.1 本で、10年前に比べて半減したことが、10日発表された文部科学省の03年度学校保健統計調査(速報)で分かった。一方で、ぜんそくの児童・生徒の割合は、10年前の2倍の水準になっていることも分かった。
 調査は1948年度から毎年、5〜17歳の児童・生徒、幼児の一部を抽出し、健康診断の結果に基づいて身長と体重、座高や、栄養状態、視力などについて調べている。今年度の対象は小中学校、高校、幼稚園計9165校。
 12歳の永久歯のむし歯の本数は、84年度に同様の調査を始めてから減少傾向にあり、この10年では93年度の 4.09 本から 2.09 本に減った。男子は1.92本で初めて2本を切った。女子は 2.26 本。治療済みを含めてむし歯がある中学生の割合は93年度の 87.78 %と比べて約20ポイント低下した。同省は学校や家庭での歯磨きの指導が定着したためとみているが、男女差の要因は分析していないという。
 ぜんそく患者の割合はこの10年間、ほぼ一貫して増え続けている。小学校が 2.9 %で最も高く、10年前の2.5倍。高校、中学校と幼稚園も10年前の2倍前後で、小中学校は過去最高だった。昨年度と比べると高校だけが 0.04 ポイント低い 1.32 %だった。【横井信洋】



 下図は当方でまとめた、12歳児のDMFT指数(1人平均むし歯数)の経年変化を示したものです。1980年代以降、年々減少が続いています。

12歳児のDMFT指数の経年変化(1人平均むし歯数)

※出典: 厚生労働省:歯科疾患実態調査

文部科学省:学校保健統計調査

新潟県:小児う蝕実態調査(小児の歯科疾患の状況)

 下図は2017年2月現在の新しいデータでグラフを描き直したものです。厚労省のデータも文科省のデータも新潟県のデータも減少が続いていましたが、厚労省のデータが、減少スピードが鈍り、文科省のむし歯数を少し上回っています。

12歳児のDMFT指数の経年変化(1人平均むし歯数)



 

12歳児のDMFT指数の経年変化

・厚生労働省:歯科疾患実態調査
・文部科学省:学校保健統計調査
・新潟県:小児う蝕実態調査(小児の歯科疾患の状況)
 
厚労省 文科省 新潟県
  1957(S32)   2.8 

1963(S38) 4.0 

1969(S44) 4.6 

1975(S50) 5.61

1979(S54) ---
5.16
1980(S55) ---
5.03
1981(S56) 5.43
4.87
1982(S57) ---
4.81
1983(S58) ---
4.62
1984(S59) --- 4.75 4.61
1985(S60) --- 4.63 4.46
1986(S61) --- 4.58 4.24
1987(S62) 4.93 4.51 4.10
1988(S63) --- 4.35 3.91
1989(H01) --- 4.30 3.77
1990(H02) --- 4.30 3.70
1991(H03) --- 4.29 3.57
1992(H04) --- 4.17 3.44
1993(H05) 3.64 4.09 3.34
1994(H06) --- 4.00 3.15
1995(H07) --- 3.72 3.01
1996(H08) --- 3.51 2.67
1997(H09) --- 3.34 2.53
1998(H10) --- 3.10 2.35
1999(H11) 2.44 2.92 2.10
2000(H12) --- 2.65 1.81
2001(H13) --- 2.51 1.64
2002(H14) --- 2.28 1.42
2003(H15) --- 2.09 1.29
2004(H16) --- 1.91
2005(H17) --- 1.82
2006(H18) ---

※平成17(2005)年度は速報値。

 

12歳児のDMFT/中学生全体のう蝕罹患率
 
学校保健統計調査
 

「男女合計」「男子」「女子」以下のカッコで括られていない数値は、それぞれ「男女合計」「男子」「女子」の12歳の永久歯の一人当たり平均むし歯等(喪失歯及びむし歯)数を示す。カッコで括られた数値はその年度の中学生全体(1〜3年生)の「男女合計」「男子」「女子」のむし歯の者(処置完了者を含む)の割合を示す。 
 
  年度     男女合計     男子     女子  
  平成3(1991)年度    4.29 (89.64)   3.91 (87.98)   4.69 (91.39) 
  平成4(1992)年度   4.17 (88.93) 3.80 (87.13) 4.56 (90.81)
  平成5(1993)年度   4.09 (87.78) 3.75 (86.30) 4.46 (89.33)
  平成6(1994)年度   4.00 (87.74) 3.69 (85.92) 4.32 (89.64)
  平成7(1995)年度   3.72 (86.62) 3.41 (85.08) 4.04 (88.23)
  平成8(1996)年度   3.51 (84.77) 3.21 (83.02) 3.81 (86.60)
  平成9(1997)年度   3.34 (83.67) 3.08 (81.88) 3.61 (85.54)
  平成10(1998)年度   3.10 (81.89) 2.85 (80.06) 3.35 (83.80)
  平成11(1999)年度   2.92 (80.07) 2.68 (78.06) 3.17 (82.17)
  平成12(2000)年度   2.65 (76.85) 2.46 (75.01) 2.85 (78.76)
  平成13(2001)年度   2.51 (73.81) 2.29 (71.79) 2.74 (75.93)
  平成14(2002)年度   2.28 (71.24) 2.11 (69.51) 2.46 (73.05)
  平成15(2003)年度   2.09 (67.68) 1.92 (65.88) 2.26 (69.55)
  平成16(2004)年度   1.91 (64.61) 1.75 (62.39) 2.08 (66.93)
  平成17(2005)年度   1.82 (62.72) 1.65 (60.61) 2.00 (64.93)

※平成17(2005)年度は速報値。

 

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