Water Fluoridation
「水道水フッ素化は安全か?」***止めてほしい水道水へのフッ素添加!***
(これは小生がフッ化物問題に関心を持って初めて宮城県医師会報へ投稿したものを修正・加筆したものです。)
平成12年12月8日の河北新報に「水道水フッ素化で虫歯予防」という記事があった。その中には「世界56ヶ国で水道水をフッ素化しており、安全性と効果は実証済み」、「効果や安全性に関する医学的論争は決着している」との意見が紹介されていた。近く厚生省は地方自治体に水道水フッ素化の技術支援に乗り出すという。
インターネットの検索エンジン(alta vista)で水道水フッ素化(water fluoridation) について検索してみると、英語ではすぐ約四千件のホームページが見つかり、賛否について激しい論議が続いていることが分かる。
水道水に添加されるのは無機フッ化物で、米国では三つの成分が使われているという(1989年)。給水人口の約6割には珪フッ化水素(H2SiF6、ヘキサネフルオロ珪酸)が添加されている。この物質の化学的性質は、強酸であり、皮膚に触れると腐食作用があり、わずかに電離してフッ化水素を要離する。そのフッ化水素は反応性に富み、高濃度ではガラス、石英を侵す性質がある。次いで給水人口の約3割には珪フッ化ナトリウム(Na2SiF6、ヘキサフ ルオロ珪酸ナトリウム)が添加されている。これは珪フッ化水素に水酸化ナトリウムを加えてできるもの。残りの給水人口の1割にはフッ化ナトリウム(NaF)が添加されており、フッ化水素に水酸化ナトリウムを加えてできるもの。これは毒性が強く、人体には粘膜刺激性や神経毒性があり、取り扱いには防毒マスクやゴム手袋が必要な物質である。
水道水への添加濃度は0.8ppmと言う。無機フッ化物は多くの練り歯磨きに数百から千ppmの濃度で添加されているが、添加濃度は表示されていない。塗布液には0.9%(9,000ppm)フッ化ナトリウムが使用されている。0.9%とは生理食塩水のNaClをNaFに置き換えたものに相当し、フッ化ナトリウムの毒性は全く考慮されていない。先に引用したようにフッ化ナトリウム(NaF)には強い毒性があり、食塩(NaCl)と同等のものとは考えてはならないと思う。若い世代の人々に長期間、繰り返し使用されることを考えると、生殖毒性や胎児毒性、発ガン性などの慢性毒性の評価は慎重になされなければならないと思う。
いったんフッ素化を実施したが、あとで取りやめた地域・国は多く、ヨーロッパ諸国では戦後、10〜20年でフッ素化を中止し、現在、フッ素化水道水を用いている人口はヨーロッパ大陸でわずか1%だそうである
また気になるのは、フッ素化推進論者の転向である。ニュージーランドでフッ素化推進の中心的存在であった歯科医ジョン・コフーン博士は、フッ素化の被害と効果への疑問から、フッ素化反対を主張するようになり、1992年、国際フッ素研究学会雑誌「フルオライド」の編集長になって活動した。同様に、カナダ歯科医学会会長(トロント大学予防歯科主任教授)ハーディ・ライムバック博士も最近、反対派に転向して活動しているという 。またかつて中国でフッ素化の国家基準値を決めたプロジェクトチームの責任者であった魏賛道教授は、中国広州市でのフッ素化被害とフッ素化中止(1983)の報告を含む著書を昨年に出版しているという。その他、多くの団体、専門家が反対している。
双方が危険だ、いや安全だという根拠となる論文は多数あるが、無視できないと思うのは、フッ素化地域でのガンの増加と、二〇才代の若い母親から生まれた子供でのダウン症候群の増加4)である。それらの論文の評価には賛否があるとしても、「医学的評価は決着ずみでフッ化物は安全」というのは暴論だと思う。
また腎不全患者ではフッ素排出能の低下から、高フッ素血症を生じ、骨フッ素症を起こす可能性が大きい。東北大学法医学教室の山田、押田、赤石先生は、「フッ素化は法的強制に結びつくほどの絶大な効果はなく、添加される99%以上のフッ素は環境汚染物質となる」と警告している。
フッ素と同じハロゲン系元素である塩素は水道水に添加されるが、それは公衆衛生上の目的で伝染病菌を殺菌するためである。虫歯は伝染病ではなく、しかも水道水は飲み水だけに用いられるものではない。仮に虫歯予防に効果があり、毒性がないとしても、水道水全体へ添加するのは非効率的と言わざるを得ない。無機フッ化物は燐鉱石や蛇紋石から燐酸肥料を作るとき、同時に加えるホタル石から発生し、排出する煙を低・無害化する脱フッ素装置を洗浄して出る産業廃棄物である。これは現在、道路舗装の時、コンクリートに混合したり、多くは産廃施設に廃棄されているという。水道水に添加することが決定すれば、今まで有料で廃棄されていた産業廃棄物は一転して、虫歯予防のための一種の医薬品の原材料になる訳である。混合して含まれる不純物成分は除去されるのだろうか、それとも希釈すれば水質基準をクリアするとでもいうのだろうか。私は飲料水に余計なものを加えて欲しくはないと思う。いったん添加されれば、住民個人個人に選択の余地はなくなるのだ。(金属の精錬でもホタル石を加えるが、そこで出るスラグも無機フッ化物を含む。しかし現在、日本では金属精錬をする工場が減少したという。)
参考論文;
1)秋庭賢司.消費者レポート:1137,1138号、2000年12月。
2)『化学大辞典』共立出版株式会社。
3)村上徹ホームページ
4)Takahashi,K. Fluoride 31:01, 61-73, 1998.
5)山田文夫ら.歯界展望 48(1)、119−123,1976.
宮千代加藤内科医院(仙台市)のホームページ