ぴっくあっぷ・かわら版


 ■喫煙の出生児に与える影響の調査結果

日本経済新聞:2001(平成13)年10月25日
 
妊娠中たばこ多いと‥‥
出生児の身長・体重低下
妊婦の喫煙率>>10%に増加

 妊娠中の母親の喫煙本数が多いほど、出生時の赤ちゃんの体重や身長が低下する傾向にあることが、厚生労働省が24日発表した「2000年乳幼児身体発育調査」で分かった。妊婦の喫煙率は一割に達し、特に10代では、3割を越えていた。全体として出生時の赤ちゃんのスマート化は続いているものの、同省は「たばこが出産に与える影響がかなり明らかになった。注意喚起していきたい」としている。
 調査は1950年以来、10年ごとに実施。2000年の調査では小学校入学前までの乳幼児のうち全国から抽出した1万21人と、2000年9月中に病院で生後1カ月健診を受けた4094人の計1万4千115人の出生時の状況をまとめた。
 全体では、出生時の平均体重は男児が3.04�`(10年前の前回比110�c減)、女児は2.96�`(同100�c減)。平均身長は男児が49.0�a(同6�_減)、女児が48.4�a(同5�_減)で、体重は男女とも80年、身長は男児が70年、女児が60年の調査をピークに減少を続ける傾向は変わらなかった。
 同省は「妊娠中毒症の防止のため体重を抑制するケースや、医療技術の向上で未熟児等が増加するなど総合的な要因が関係しているのでは」と分析している。
 今回は前回に続き、喫煙と身長、体重の関係について調査。全国から抽出した1万21人の乳幼児の母親のうち、「喫煙している」と答えたのは1005人で前回調査より4.4ポイント増えて10.0%で、たばこを吸う妊婦が増えている実態が明らかになった。

1日当たりの喫煙本数と性別出生児の身長平均値(2000年「乳幼児身体発育調査」厚生労働省
 
妊婦がたばこを吸う本数(1日当たり)と出生児の身長

1日当たりの喫煙本数と性別出生児の体重平均値(2000年「乳幼児身体発育調査」厚生労働省
 
妊婦がたばこを吸う本数(1日当たり)と出生児の体重

 喫煙本数別にみると、たばこを吸っていない母親から生まれた女児の平均体重が3.02�`だったのに対し、母親がたばこを吸うケースでは、1日1、2本吸っていると2.99�`、3〜5本では2.95�`、6〜10本では2.91�`、11本以上では2.90�`だった。
 身長もたばこを吸っていない母親から生まれた女児が48.8�aだったのに対し、母親がたばこを吸っていると、48.2〜48.6�aで、身長、体重とも喫煙本数に応じて低下する傾向があった。
 男児でも母親がたばこを吸っていない場合、平均体重が3.1�`だったのに対し、母親がたばこを吸っていると、3.03〜2.97�`。平均身長もたばこを吸っていない場合は49.3�aだったのに対し、たばこを吸っていると49.1〜48.4�aで、女児と同様の傾向があった。
 母親の年代別の喫煙率では、15〜19歳が34.2%で、20〜24歳が18.9%で、若い世代の妊婦ほど、たばこを吸うケースが多かった。
 調査では初めて飲酒との関係も調査。飲酒している妊婦は18.1%で年齢とともに飲酒率が増加する傾向があったが、生まれてくる子供の体重や身長に対する影響は見られなかった。

妊娠中の飲酒の状況
(平成12年 厚生労働省:乳幼児身体発育調査報告書)
 

  平成12年
人
あり 総数  1,817 (18.1%)
妊娠中に10回未満   930 (9.3%)
月に1〜2回   448 (4.5%)
週に1〜2回   261 (2.6%)
週に3回以上   141 (2.6%)
不詳    37 (0.4%)
なし 総数  8,191 (81.7%)
不詳 総数    13 (0.1%)


年齢別、妊娠中の飲酒の状況
(平成12年 厚生労働省:乳幼児身体発育調査報告書)
 

  15〜19歳 20〜24歳 25〜29歳 30〜34歳 35〜39歳 40〜46歳
人 % 人 % 人 % 人 % 人 % 人 %
飲酒あり 18 12.3 234 17.0 717 17.5 629 18.8 194 20.3 23 24.5
    なし 128 87.7 1140 82.9 3375 82.4 2710 81.1 763 79.7 71 75.5
    不詳

1 0.1 6 0.1 4 0.1








 ■平日の昼間生まれてくる赤ん坊のお話し

朝日新聞 社説:1999(平成11)年4月11日 日曜日
 
危険を直視しよう──お産の操作

 日本の赤ちゃんは、平日の昼を選んで生まれてくる……。そんな奇妙なことが、あるはずはない。
 ところが、厚生省の人口動態統計をもとにグラフを描くと図のようになる。

日本の日別全出生数(1996年12月16日〜1997年1月15日:朝日新聞1999年4月11日社説より)

 土日や祝日、年末年始やゴールデンウイークには出生数が極端に落ち、火曜日には跳ね上がるのだ。出生時刻も、午後二時ごろが多い。
 このような現象は、子宮を人工的に収縮させる「陣痛促進剤」と呼ばれる薬が登場したこと、日本の少なからぬ医療機関が、それを利用して、出産の日時を操作するようになったことと無縁ではない。
 背景には、休日や夜間の人件費を抑えたいという経営上の要請がある。
 出産日を平日に変えることは、一見安全そうで、技術の勝利のようにもみえる。だがそれが、悲劇を招いている。
 大阪高裁で、H市民病院(註:新聞では実名)が敗訴した、八年半前の事件は典型的な例だ。
 Kさん(註:新聞では実名)は当時二十九歳、つわりも軽く、妊娠の経過は順調だった。ところが、H市民病院で定期検診を受けた年末の月曜日、陣痛も起きていないのに、主治医の副院長から「入院しなさい」といわれた。陣痛促進剤を、それとは知らされずに、一時間ごとに飲まされた。
 これが発端でKさんは、火曜の未明から異常な子宮収縮に襲われ、死の危険に直面した。赤ちゃんは仮死で生まれ、九日後に亡くなった。
 非政府組織(NGO)の「陣痛促進剤による被害を考える会」(出元明美代表)には二百七十六件の被害例が寄せられているが、共通していることがある。
 第一は、出産日を人為的に変えることや、この薬のもつ危険性について、医師が産婦にきちんと説明していないことだ。
 薬による急激な子宮の収縮は子宮破裂や仮死出産を招くことがある。生まれた赤ちゃんに、脳性マヒなどの後遺症を残すこともある。待ち望んだ誕生の日が、母子の命日となってしまった例も少なくない。
 共通する第二は、大阪の判決でも指摘された医療機関の貧しい体制だ。
 この薬への感受性は、人によって大きな差がある。注意深く観察し、異常が起きたら敏速に処置する体制が不可欠だが、Kさんの場合は、夜間は助産婦一人が新生児室と陣痛室をかけ持ちしていた。
 陣痛促進剤がほんとうに必要なケースもあるだろう。だが、その場合も、二十四時間態勢で観察、検査、処置ができる先進諸国なみの体制がなければ、母子は危険にさらされる。日本の妊産婦死亡率は先進諸国と比べ、まだまだ高いのだ。
 海外では、「常時フル態勢」が病院の常識である。夜間や土日は手薄でよいという日本の「常識」を変え、危険や悲劇を防ぐような体制づくりを、いま検討中の医療法改正に盛り込むべきではないか。

 この朝日新聞・社説に登場するKさんの夫が1999年10月に愛知県産業貿易館で「レセプトを見れば医者が分かる」と題した勉強会で事の詳細を報告し、その内容は薬害オンブズパースン・タイアップ名古屋の "NEWS LETTER" 第7号(2000年2月1日発行)に掲載されています。




  

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