再び正露丸(セイロガン)について

(正露丸の問題についての最近の動きをお知らせします。)

 厚生省(現在の厚生労働省)と製薬企業への申し入れ
 平成12年1月31日、薬害オンブズパーソン会議は、厚生省と正露丸を製造・販売している19社の製薬企業へ、「正露丸等クレオソート製剤の販売中止を求める要望書」を送りました。

 厚生省の反応
 『週刊現代』(2月19日)によると、厚生省医薬安全局の中村陽子・安全対策企画官は記者会見で次のように述べたそうです。
 「市民団体から要望書を受け取りましたが、あのなかの副作用の症例は、適量以上に服用したケースです。正露丸は長年売られており、現段階で死亡例といった副作用の報告もない。販売中止や臨床試験などの指導をする必要は認められません。」

(感想)
 刺激性、腐食性が強いため、皮膚の消毒にさえ用いられなくなった消毒薬成分を、死亡例の報告がないからといって、このまま内服を続けていいというのでは、安全対策企画室の名が泣きます。本当に死亡例が隠れていないのか調査するというのが、あなた方の仕事ではないのですか。医師からすれば、患者が自己判断で服用した医薬品について、正確な服用量や服用回数について記録があるわけでもなく、副作用を疑っても、一般の臨床検査施設で、血中のグアヤコール濃度やクレゾール濃度や石炭酸濃度は測定できないのです。従って、たとえ死亡例が出ても、麻痺性腸閉塞とか、腎不全とかいう一般的な病名だけを付けて、死亡の真の原因はうやむやにされるのです。私のところには、老人の死亡例が1例、子供の入院例が1例、確実な情報が寄せられています。(情報を寄せてくれたのは、宮城県の医師二人で、後者の例については、県医師会のパソコン通信に詳細が記載されています。検討の余地のある情報ですが、他にもインターネットを通じて症例が寄せられています。)

 公開討論会について
 平成12年2月6日の日曜日、名古屋市中区榮三丁目の栄ガスビル会議室において、薬害オンブズパーソン会議が公開討論会「飲んではいけない?正露丸」を開きました。このことは上記の『週刊現代』や毎日新聞で報道されました。『週刊金曜日』が発行してベストセラーになったブックレット『買ってはいけない』の中の「買ってはいけない正露丸」へは「訴訟も辞さない」という態度で抗議した大幸薬品(株)は、今度は何の抗議もしていません。会社に協力して、治験まがいの臨床成績を集めた医師や、毒性試験などをやった大学の研究者たちは、公開討論会に出てきて、堂々と議論をすべきでした。

 教育委員会への申し入れ
 6月20日、薬害オンブズパーソン会議は6ヶ所の支部で、全国405の教育委員会に対して同様の要望書を郵送、あるいは直接、手渡ししました。このことは当日、夜のテレビで報道され、毎日新聞などの記事になりました。正露丸は大衆薬としては安全域が狭く、特に子供や老人には危険であるとの考えに基づく行動です。(続く)

  

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