フッ素(フッ化物)の虫歯予防への応用
 
〜水道水添加・洗口・塗布の問題〜

　フッ化物（フッ素）を利用して虫歯を予防する効果、そしてフッ素の安全性評価などについては大論争があり、仮にフッ素利用推進派と利用反対派と分けますと、推進派は「安全性には問題が無く、科学的には決着がついた問題だ」とし、反対派は「安全性には問題があり、推進派が言うように『（安全だと）科学的には決着がついた問題』などとは言えない」として、議論が落ち着く方向へとは進んでいないのが現状です。

　フッ化物（フッ素）を虫歯予防に応用する方法としては、
 
　・水道水のフッ素化（水道水フッ素濃度調整、フロリデーション）
　・フッ化物洗口（フッ素洗口）
　・フッ化物歯面塗布（フッ素塗布）
　・フッ素配合歯磨き剤の使用
　・フッ化物を含む錠剤や液剤の飲用
　・フッ化物を添加、含有している食塩やミルクの摂取
 
　　　───などがあります。

　フッ化物を応用した虫歯予防の方法を簡単に紹介します。各方法は、その方法、濃度、対象、期間など、若干異なるものがありますが、詳しくは虫歯予防にフッ素応用を主張する推進団体等、また歯科関係のサイトをご覧下さい。

　水道水のフッ素濃度調整
 
　水道水のフッ素濃度を大体０.６〜１.２ppm 程度になるよう調整(添加・除去)し、虫歯予防を図ろうというものです。フロリデーション(Fluoridation)とも言います。

　フッ化物洗口（フッ素洗口)
 
　フッ化物洗口はフッ化物歯面塗布に比べて低濃度の洗口液を使います。毎日洗口する方法(毎日法・週５回法)と、週１回行う方法(週１回法)などがあり、毎日法では薄い液(フッ素濃度約230ppm)を、週１回法では若干濃いめの液(フッ素濃度約450〜900ppm)を使用します。

　フッ化物歯面塗布
 
　歯に直接、高濃度のフッ素を塗る方法で、歯科医師、歯科衛生士が行います。約 9000ppm 前後のものを年に数回行います。

　フッ素配合歯磨き剤の使用
 
　一般に売られているフッ素配合歯磨き剤は「薬用歯みがき類製造(輸入)承認基準等について」（厚生省薬務局長通知：薬発第241号,平成６年３月15日）によりフッ素濃度は1000ppm 以下と定められています。
　回答を得られた大手のメーカー(複数)では、大人用と子供用の歯磨き剤に濃度の差は設けていないそうで、900〜1000ppm 程度配合されているということでした。
　フッ化物としてはフッ化ナトリウムとモノフルオルリン酸ナトリウムが使用され、他の薬剤との相性でどちらかを選択するということでした。

　さて、2002年、市民団体として薬害問題に取り組む「薬害オンブズパースン会議」は「う歯予防を目的とした水道水へのフッ素添加の有効性と危険性に関する文献的調査研究報告書」(2002年1月31日)及び「水道水へのフッ素添加についての意見書」(2002年5月7日)を発表しました。「水道水へのフッ素添加は、危険性が相当な程度で予測され、危険性を上回る有益性はない。」「水道水へのフッ素添加は行うべきではない。」としています。※前記文書は「薬害オンブズパースン会議」のホームページより入手可能です。

　上記 水道水のフッ素化(フロリデーション)、フッ化物洗口、フッ化物歯面塗布、フッ素配合歯磨き剤(ペースト)の使用では、後者の３つの方法は自らの判断で使用するか否かを決定することが出来ます。しかし水道水のフッ素化(フロリデーション)においては自分の住んでいる地域の給水にフッ素が添加されてしまいますと、それを飲用したくない人々の選択の自由は奪われてしまいます。フッ素化水道水を飲みたい方々は個人で添加して飲用すればそれで済むはずです。
　また、虫歯予防のために一部の保育所・幼稚園・小中学校などの教育機関においてフッ化物洗口が行われていますが、このフッ化物洗口では年令が低いほど洗口液を誤飲してしまう事が知られています。洗口液は少量ですが、濃度はフッ素化水道水に比較して数百倍の高濃度であることから、これはフッ素化された水道水を飲用する場合に考えられる害作用と同様・同類の問題を含むと考える事ができ、また、比較的高濃度であることから急性中毒の危険性も伴います。
 
　今後、フッ素の虫歯予防応用に関する問題を少しずつ取り上げていきたいと思います。皆様のこの問題についての判断（特に子どもにフッ素洗口をするか否かの判断をせまられる保護者の方々の判断）の一助となれば幸いです。