「虫歯予防にフッ素」は有害であまり効果はない
フッ素洗口やフッ素トフ、フッ素入り練り歯磨きは止めよう!
(似非科学による健康被害を避けるために)


消費者レポート 2009年10月7日(No.1447)
  秋庭賢司(日本フッ素研究会評議員・歯科医師)
「フッ素洗口に虫歯予防効果がない六つの証拠」より。

図の転載には秋庭賢司先生と日本消費者連盟の許可を得ています。詳しくは消費者レポート(No.1447)をお読み下さい。もっと詳しくは、「秋庭賢司、南雲明男、成田憲一:12歳児のDMFT指数にみるフッ素洗口の効果.『フッ素研究』第26号、12−19ページ、平成19年10月」に書かれています。

 新潟大学歯学部予防歯科学教室の指導で、新潟県は県下の保育・教育施設において集団的フッ化物洗口を長く(1969年以来)推進してきました。そのため新潟県の子供たちはフッ素洗口をしている比率が高く、虫歯の数が少ないと言われ、フッ素洗口の「モデル県」のように宣伝されています。しかし次の図をご覧下さい。DMFTとは虫歯のことで、縦軸の一つは一人当たり虫歯本数です。もう一つの縦軸は各県の洗口実施率です。(出典:上記の消費者レポート)

 図1
 

 どう見ても、各県の洗口実施率と一人あたり虫歯数には相関性が見られません。虫歯の多い、少ないはフッ素洗口の実施率には相関性がありません。このグラフから、普通の感覚を持った人なら、虫歯の多い少ないにはフッ素洗口をするしないの外に何か別の要因が存在するのではないかと考えるでしょう。これをフッ素応用を推進する歯科医や歯科学者はどう説明するのでしょうか?フッ素応用を進める団体には「日F会議」という団体があり、そこのホームページには次のような図が掲載されています。
 
 

 図2

 子供の一人当たり虫歯数は描かれていますが、なぜか洗口実施率は描かれていません。ただ新潟県の棒グラフの前に赤色で「洗口を実施している新潟県内の子供の一人当たり虫歯数」が示されています。この図だけを見ると、いかにも洗口を実施していると「さらに」虫歯が減少するかのように感じます。しかし消費者レポートの図に描かれているように、各県別の洗口実施率のデータは揃っているのです。日F会議のグラフにはそれが描かれていません。データがあるにも関わらず描かないのは、都合が悪いのでしょうか。「洗口に効果あり」という結論ありきの姿勢が、このようなデータ隠しと、都合のよいデータだけを加えて描いた図に現れているのではないでしょうか。非科学的情報の中で、簡単に見破ることができる手法の見本でしょう。

 さらに言わせて貰えば、新潟県で洗口を実施している子供たちの虫歯数が少ないというのも、それをただちに洗口の効果と言うのには大きな問題があります。洗口を実施するに当たって、当然、虫歯のでき方、その予防法などについての説明が行われます。そのような衛生指導が洗口事業に伴って行われます。もし洗口(だけ)の効果を確認するには、子供の集団全体に、虫歯のでき方、その予防法などについての説明を行い、その上で子供たちを平等に2群に分け、片方のグループには水で口すすぎを行い、他のグループの子供たちにはフッ化物の入った液で口すすぎを行います。洗口を一定期間続けたのち、虫歯の数を判定する歯科医が、それぞれの子供がどちらのグループに属しているかを分からない状態で、虫歯数を判定しなければなりません。このような方法を「目隠し法」と言いますが、この方法でなければ科学的に正しい結論は出ないのです。

 推進する歯科医や歯科学者は次のように反論するかも知れません。「洗口をしていると言っても、どのくらいの期間しているのかがまちまちで、すぐ虫歯予防効果にはつながらないのだ。」しかし洗口を数年やって虫歯の増加が抑えられたというデータがあったとしても、次のグラフに示すように虫歯は日本では全国的に減少傾向にあるので、その自然減をさっ引いて洗口の効果としなくてはなりません。

 図3

 コクランのシステマティック・レビューという、世界中の関連論文を集めて、科学的に信用できるか否かを検討し、「フッ素含有の歯磨き剤で歯磨きをしている場合には、フッ素洗口には統計的に意味のある虫歯予防効果はない」という結論を出した報告があります。推進する学者たちの報告がいかにいい加減なものであるということは、日本からの報告はレベルが低いとして一編も採用されていないことでも明らかです。これについても小生の検討(「フッ化物配合歯磨き剤を使っていれば、フッ化物洗口の有効性はほとんどない」)をお読み下さい。効くはずという「予断と期待」に基づいた誤った情報で大衆をだまさないでいただきたいと思います。少数ではあるものの我々が「虫歯予防にフッ素応用を」という宣伝の基礎となっている科学的根拠を「似非科学」と考え、反対を続ける理由がここにあります。また保護者の方々も、子供の健康を守るために、批判的な目で健康情報を見てほしいと思います。(091008)

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