「ネコいらずやゴキブリ退治薬を何で子供の口に入れていいのか」

(1)まずgoogle で「"rat poison" "sodium fluoride" sale」の3語を入れて検索してみましょう。
 "rat poison"は猫いらず、"ratsbane"とも、"rodenticides"とも言います。"sodium fluoride"は、フッ素洗口に使う洗口剤(粉末)の成分です。sale は販売とか商品という用語です。検索するとネズミ退治用の商品が多数でてきます。その7番目あたりに袋入りの商品がすぐ出てきます。それを開くと以下のような商品説明が出てきます。

 

 表示を見ると、粉末で、共に純度は98〜99%です。小さなダンゴに混ぜて、ゴキブリの出る台所の隅に置いたり、ネズミが好む食べ物に混ぜて、ネズミが住んでいる物置などに置きます。

(2)実は米国で台所に置いてあったゴキブリ退治薬(フッ化ナトリウム)を「粉ミルク」と間違えて「スクランブルエッグ」に入れ、病院の給食に出してしまい、急性中毒で実に47人が死亡した大事故が起きたことがあります。  詳しくは別項目にまとめてありますので、ご覧下さい。その英語の論文も載せておきました。

 概要を紹介すると、米国オレゴン州の州立病院でゴキブリ退治薬のフッ化ナトリウムを粉ミルクと間違えその8kgを38Lの卵に混ぜてスクランブルエッグを作り、夕食に出してしまいました。食べたのは入院患者で、直後から激しい吐き気と腹痛、血性の嘔吐・下痢を訴える患者が続出、ショック症状を呈して死亡。ショックから回復した患者では、嚥下筋の麻痺、四肢の筋肉のケイレンがみられた。患者は236人にのぼり、うち47人が死亡しました。死亡のほとんどは食後2〜4時間であった。・・・ (Lidbeck WL et al. Acute sodium fluoride poisoning. JAMA 1943; 16: 777-81.) 使われたゴキブリ退治剤の成分の90%はフッ化ナトリウムで・・・外観が小麦粉やふくらし粉に似ているので、パンケーキやビスケットに入れられて中毒事故を起こしたという報告もある。・・・

(3)フッ化ナトリウムは劇物、劇薬です。子供における致死量の下限はフッ素にして5mg/kgと考えられています。

 フッ素にして5mg/kgということはフッ素の原子量は19、フッ化ナトリウムの分子量が42なので、5を19で割って、42を掛けると、11になるので、フッ化ナトリウムの致死量の下限は11mg/kgということになります。 フッ化物洗口用の洗口剤、ミラノールやオラブリスにはフッ化ナトリウムが1袋中に110mg入っています。(200mlの水に1袋を溶かすとフッ素が250ppmの洗口液ができ、その5〜10mlで口をすすぐことになっています。)体重10kgの幼児が1袋分をもし飲めば、体重1kg当たりフッ化ナトリウムが11mgとなり、ちょうどフッ素に5mg/kgとなり、死ぬほどの危険があるということになります。筑波大学名誉教授の内藤裕史先生は『中毒百科』の中で、同様の危険性を指摘しておられます。

中毒量のまとめ ミラノール(洗口剤) 

ネズミも嫌う「猫いらず薬」を何で子供の口に入れていいの?

(4)フッ化物洗口のマニュアル(公式の手引き書)の中で、安全性の根拠としている論文は111年前のもの1編だけ!

 厚労省は2003年1月、「ガイドライン」(下左側)を全国の知事宛に出し、その中で、手引き書(マニュアル、下中央)に従ってフッ化物洗口を行うように勧めています。マニュアルは「う蝕予防のためのフッ化物洗口マニュアル」というもので、同年3月に出され、厚生科学研究の研究班の班員(下右側)が編集したものです。その31ページにはフッ化ナトリウムによる急性中毒のことが書かれています。

ガイドライン表紙  マニュアル表紙  マニュアル編集委員

 急性中毒への危惧とその答えと、それに引用されている文献の部分を下に示します。

マニュアル31ページ

 2mg/kgという値を「中毒量」とし、この値以下なら中毒症状は起こらないと言っています。体重60kgの大人なら、120mgのフッ素までは大丈夫というのです。(さきほど述べた子供の致死量の下限である5mg/kgとは違います。)120mgのフッ素はこの値を19で割って、42を掛けると265.3mgのフッ化ナトリウムに相当します。先ほどのミラノール1袋にはフッ化ナトリウムが110mg入っていますから、265.3÷110=2.41袋に相当します。

 編集した委員の皆様、自分らの言っていることが正しいなら、説明会で保護者の方々の前で、ミラノールを2袋半を飲み込んで、洗口事業の安全性を証明して見せて下さい。

マニュアル34ページ

 上のマニュアルの文献欄の1)の年号をご覧下さい。1899年というと、明治32年です。科学技術の進歩が早い現在、この論文一つを根拠にして、他の最近の中毒学の文献や本を一切、無視し、子供にとって最も重要な安全性を論ずるなど、この研究班の班長・高江洲先生や共同責任を有する班員の先生らの不勉強と無責任ぶりにあきれてしまいます。

マニュアルが示す安全性は信用できません。有害無益なフッ素洗口を断り、子供を守りましょう。

  ← We use the toothpaste without fluoride for brushing the teeth in the "mouse".

  ホームヘ戻る

宮千代加藤内科医院(仙台市)のホームページ